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2023.08.07
介護福祉士とは?
介護福祉⼠は、「介護におけるプロフェッショナル」と位置づけられています。介護系の資格で唯⼀の国家資格であり、無資格から始まり介護職員初任者研修、介護福祉⼠実務者研修と続く介護のキャリアパスの事実上のゴールであり、介護職員として働き続けるなら、⽬指すべき資格となります。
介護福祉士を取得するメリット
活⽤できる範囲が広い
訪問介護員に必要な介護職員初任者研修、サービス提供責任者になれる介護福祉⼠実務者研修、そのほか福祉⽤具専⾨相談員やガイドヘルパーといった専⾨の個別資格が必要な職種でも、介護福祉⼠資格を持っていることで要件を満たすものがいくつかあります。
カバーできる範囲が広く、さまざまな場所で活⽤できる資格です。
さまざまな資格への登⻯⾨
介護福祉⼠はそこからさらに別のキャリアに進む場合のベースにもなり得ます。下記の資格は、介護福祉⼠の資格を取得後に、さらに5年の実務経験を積むことで挑戦が可能となる資格です。
- 介護⽀援専⾨員
- 認定介護福祉⼠
- 実務者研修教員講習会
ケアマネジメント業務や指導的⽴場、あるいは教育者へと、介護の現場を超えてステップアップの可能性が開かれるのは魅⼒的です。
賃⾦が上がる
現場で介護業務に従事する上で、介護福祉⼠は事実上のトップ資格となります。資格⼿当についても、初任者研修や実務者研修より⾼い⽔準で⽀給されることが多いです。
介護福祉⼠については、事業所に⼀定以上の割合で在籍することによってその事業所の介護報酬が多くなるため、どの事業所もほかの資格と差をつけて優遇する傾向にあります。
就職・転職で圧倒的なネームバリュー
慢性的な⼈材不⾜の介護業界では、常に⼈材を募集しています。初任者研修や実務者研修の資格も就職に有利にはたらきますが、やはり国家資格の介護福祉⼠はその影響⼒は段違いです。
理由のひとつとして、介護福祉⼠がそう簡単に取得できる資格ではないということが挙げられます。取得⽅法についてくわしくは後ほど説明しますが、専⾨的な学校で2年以上学ぶか、実務で3年以上の経験がないと、国家試験の受験資格さえ得られないのです。
特に未経験者の早期離職率が⾮常に⾼い介護業界において、⼗分な学習経験または実務経験を持ち、かつ試験をクリアするだけの知識があることが担保された介護福祉⼠は、早期離職の可能性が低く、かつ即戦⼒として期待できるため、⾼待遇で採⽤しやすいのです。
介護福祉士の取得⽅法
国家試験について
介護職員初任者研修や介護福祉⼠実務者研修といった、研修を修了することで得られる資格と異なり、国家資格である介護福祉⼠は、国家試験に合格することによって初めて得られる資格となります。試験は年に⼀回、毎年1⽉末頃におこなわれます。
受験ルート
介護福祉⼠国家試験の受験は誰でもできるものではなく、⼀定の要件を満たす必要があります。実は介護福祉⼠の国家試験⾃体はそれほど難易度が⾼いわけではない(合格率70%程度)のですが、この受験要件を満たすことのほうがハードルが⾼かったりします。要件を満たす⽅法は、以下の4通りとなります。
- 福祉系⾼校ルート
- 養成施設ルート
- EPAルート
- 実務経験ルート
このうち、福祉系⾼校ルートと養成施設ルートは、いわゆる学校となります。福祉系⾼校は⾼等学校、養成施設というのは⼤学や短期⼤学、専⾨学校のことで、それぞれ、2年から4年通い、所定の単位を取得して卒業することによって、現場の実務経験がなくても介護福祉⼠国家試験を受験することができます(※)。
※卒業年度によっては国家試験が免除されることもあります。また、養成施設を令和8年度末までに卒業する⽅は、卒業後5年の間は、国家試験を受験しなくても、または、合格しなくても、介護福祉⼠になることができます。この間に国家試験に合格するか、卒業後5年間続けて介護等の業務に従事することで、5年経過後も介護福祉⼠の登録を継続することができます。令和9年度以降に養成施設を卒業する⽅からは、国家試験に合格しなければ介護福祉⼠になることはできません。
EPAルートは、インドネシア・フィリピン・ベトナム出⾝の⽅に限定した取得ルートとなります。まずEPA介護福祉候補者として⼊国し、3年の実務経験を積むことによって国家試験の受験資格を得ることができます。
実務経験ルートは、介護施設や訪問介護、障害者施設などで実際に勤務した実績に加えて、所定の研修を修了することで国家資格の受験資格が得られるルートです。
福祉系⾼校や養成施設を卒業していないほとんどの⽇本⼈の⽅は、このルートでの受験を⽬指すのが⼀般的となります。実際、「第35回介護福祉⼠国家試験の合格発表について」によると、介護福祉⼠国家試験受験者のうち、9割近くの受験⽣が、この実務経験ルートによる受験となっています。
多くの⽅が該当するこの「実務経験ルート」について、次にくわしく説明します。
「経験+研修」で受験できる実務経験ルート
実務経験ルートで介護福祉⼠を取得する場合、実務経験と資格要件の2つの条件があります。まず実務経験についてですが、「対象施設で勤務に従事した期間3年(1,095⽇)以上で、かつ実際に勤務した⽇数が540⽇以上」の実績が必要となります。
この実務経験については⾃⼰申告ではなく、実際に勤めた事業所の証明が必要となります。もし複数の事業所での勤務経験を合算して要件を満たす場合には、過去に勤務していた事業所から証明をもらう必要があります。
実務経験ルートのもうひとつの要件が、研修修了要件です。ここでいう研修とは、介護福祉⼠実務者研修のことを主に指します(※)。
※介護職員基礎研修と喀痰吸引等研修(1号または2号)の両⽅を修了している⽅も、研修の修了要件を満たします。
実務経験要件も研修修了要件も、試験がある年の3⽉までに満たせばいいことになっています。ですが国家試験は1⽉なので、「試験に合格したのに要件を満たさなかったから介護福祉⼠になれなかった」ということがないように、前年の12⽉までには要件を満たすほうが望ましいでしょう。
国家試験対策について
介護福祉⼠国家試験の合格率
介護福祉⼠国家試験の難易度は、ほかの国家資格と⽐べて⾼いものではありません。特に令和5年におこなわれた第35回の試験合格率は84.3%と、⾮常に⾼い合格率となりました。
受験者数(⼈) | 合格者数(⼈) | 合格率(%) | |
---|---|---|---|
第31回 | 94,610 | 69,736 | 73.7 |
第32回 | 84,032 | 58,745 | 69.9 |
第33回 | 84,483 | 59,975 | 71.0 |
第34回 | 83,082 | 60,099 | 72.3 |
第35回 | 79,151 | 66,711 | 84.3 |
試験対策のための時間を確保できる場合は、独学でも⼗分に合格が可能な試験でしょう。ですが年に⼀回しかない国家試験。⼀発で確実に合格したい場合は,各スクールが実施している介護福祉⼠の対策講座を受講することをおすすめします。
介護福祉⼠国家試験対策講座
国家試験対策講座は、介護職員初任者研修や介護福祉⼠実務者研修を開催しているスクールのほか、個⼈で活動するフリーの講師がおこなっていることもあります。それぞれの合格ノウハウを⽤いて受験⽣の⽅を合格に導いてくれます。
開催時期や開催期間、料⾦や内容などは各講座によって異なりますので、検索して⾃分に⼀番合いそうな講座を探しましょう。